脳性まひの二次障害 ボツリヌス療法 (AJU福祉情報誌63号掲載)

  こんにちは。突撃レポートのさつきです。私は脳性まひで、二次障害を発症して98年に手術をしました。同じ二次障害で悩んでいる人に向けて情報を届けたいと思っています。今号では、脳性まひの二次障害の新しい治療法として注目されている「ボツリヌス療法」を紹介します。(2003.04)

 愛知県豊明市にある藤田保健衛生大学病院の神経内科の山本紘子教授と野倉一也助教授にお話を伺ってきました。


野倉先生         さつき        山本先生

Q:ボツリヌス療法は注射による治療と聞きましたが、整形外科の痛み止めの注射とはどう違うのですか?

A:痛み止めの注射は痛みを取るだけで、筋肉の収縮はそのままですが、ボツリヌス療法は筋肉の収縮を取り、それで痛みを取ります。

Q:具体的にはどういうものですか?

A:ボツリヌス療法は、自分の意志とは関係なく動いてしまう不随意運動のある筋肉に、極めて少量のボツリヌスA毒素を注射します。現在、保険適応があるのは、極端に瞬(まばた)きが多くなる眼瞼痙攣((がんけんけいれん)、顔の半分全体が痙攣する半側顔面痙攣(はんそくがんめんけいれん)、首がひとりでに傾いてしまう痙性斜頚(けいせいしゃけい)の3つです。
 脳性まひに伴う頚部のジストニア(*1)は痙性斜頚を拡大解釈すればボツリヌス療法の適応となると私たちは考えています。
*1)ジストニア 不随意運動の一つで筋肉の異常な緊張症

Q:ボツリヌス菌とは?

A:ボツリヌス菌は食中毒を起こす菌で、その菌が毒素を作り出します。菌を注射するわけではなく質を良くした毒素を注射します。筋肉が収縮する時、神経の末端からアセチルコリン(*2)というのが出ますが, 毒素はアセチルコリンが出るのを抑えます。
 すべて抑えるわけではないです。効きすぎてはいけないので、ある部分だけです。程よく抑えられれば筋肉の収縮がなくなります。脳から信号を伝達する神経そのものに影響するわけではないので、神経を妨害するということはないです。
薬の効果がなくなると、またアセチルコリンが出てきます。一回の注射で2〜3ヶ月効きます。あまりたくさんやると今度は力が抜けてしまうので適当な量しかできないです。
*2)アセチルコリン 筋肉を収縮させる物質

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